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迷ったときのための、聖書の見取り図

迷ったときのための、聖書の見取り図

ここまで、何通かの手紙を書いてきました。読んでくださる中で、「パウロって誰?」「聖書って何?」というような、素朴な疑問が浮かんだ方もいるかもしれません。今日はいつもと少し形を変えて、そうした疑問に答えるための、簡単な「地図」を一緒に見ておきたいと思います。この「地図」は、神様と共に歩む道のりで、そばに置いておきたい道しるべです。

迷ったときに、いつでも開いてください。

聖書とは、どんな本?

分厚くて、字が小さくて、なんだか難しそうな専門用語だらけ。

聖書と聞くと、そんなふうに身構えてしまう方も多いと思います。私自身、最初はそうでした。でも中身は、思っているよりずっとシンプルです。

聖書は、一冊の本のように見えて、実は「旧約聖書」と「新約聖書」という、二つの部分からできています。「約」とは「契約」のことです。契約とは神様と人間との約束、という意味です。

旧約聖書には、神様とイスラエルの民との間の、古い契約が書かれています。そこには、いつか救い主が来る、という約束も含まれていました。たとえるなら、旧約聖書は「主人公が来る」という予告編、新約聖書は、実際にその主人公が登場する本編、というイメージです。

イエス様は、十字架にかけられる前の晩、弟子たちにこう言っています。「この杯は、神があなたがたを救ってくださるという新しい契約を保証するものです」(ルカの福音書22章20節)。

予告編で約束されていたことが、ここで本編として実現する、という場面です。

聖書という書物の性格については、こう書かれています。「神の霊感によって書かれた聖書は、何が真理であり、何が悪であるかをよく教えてくれます。また、私たちの生活をまっすぐにし、正しいことを行う力を与えてくれます」(テモテへの手紙第二3章16節)。人生の教訓集というより、生き方そのものを立て直す力がある、という位置づけです。

新約聖書の5つの構成

新約聖書は、大きく5つの部分に分けられます。会社の資料にたとえるなら、社内報(福音書)、活動報告書(使徒の働き)、各部署への通達文書(パウロの手紙・公同書簡)、そして未来予測レポート(黙示録)、と考えると、なんとなくイメージが掴みやすいかもしれません。

①福音書(マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネ):

イエス様の誕生から十字架、復活までを描いた記録です。

友人と旅行に行ったとき、あとから写真を見せ合うと、同じ景色なのに、みんな違う角度から撮っている、ということがあります。福音書もそれに近く、マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネという4人がそれぞれの視点で書いているので、内容が少しずつ違いますが、矛盾しているわけではありません。

同じ出来事を、違う角度から見ている、というだけのことです。

②使徒の働き:

イエス様が天に昇られたあと、弟子たちが各地に出て行って、福音(良い知らせ)を伝え歩いた記録です。

教会が生まれ、広がっていく様子が書かれています。

③パウロの手紙(ローマ人への手紙〜ピレモンへの手紙):

パウロが、各地の教会や個人に宛てて書いた手紙です。これまでの記事で何度も引用してきた聖書の言葉は、ほとんどがこの部分にあります。

④公同書簡(ヤコブの手紙〜ユダの手紙):

パウロ以外の著者が、特定の教会というより、教会全体に向けて書いた手紙です。

⑤黙示録:

新約聖書で唯一の預言書で、この世界の終わりについて、象徴的な言葉で書かれています。

福音書のひとつ、ヨハネの福音書の終わりには、こう書かれています。「これらのことを特に書いたのは、あなたがたがイエスは神の子キリストであると信じるため、またそう信じていのちを得るためです」(ヨハネの福音書20章31節)。新約聖書全体は、単なる歴史の記録として書かれたのではなく、読んだ人にイエス様を知ってほしい、という願いを持って書かれている、ということです。

主な登場人物

イエス・キリスト:

新約聖書の中心人物です。旧約聖書で約束されていた救い主として、人間となってこの世界に来られました。

十二弟子:

イエス様に直接ついて歩き、教えを受けた12人です。イエス様が復活したあと、その証人として、それぞれの場所に遣わされていきました。

パウロ:

もともとはキリスト教徒を迫害する側にいた人物でしたが、あるとき復活したイエス様ご本人に出会うという経験をし、伝える側に転じました。

物語でいうなら、敵の幹部だった人物が、ある事件をきっかけに、まさかの主人公側に寝返るような展開です。これまでの記事で何度も登場しているのは、この人物です。

これまで登場した言葉

罪:

「犯罪」という意味ではなく、「的を外す」「本来の道から外れる」という意味の言葉です(03・04・07で説明しました)。

恵み:

頑張って手に入れるものではなく、神様から一方的に差し出される、無償の贈り物のことです(03)。

悔い改め:

反省や後悔ではなく、「方向を変える」という意味の言葉です(07)。

御心:

神様が望んでおられること、という意味です(09)。

洗礼:

体を水にくぐらせたり、頭に水を注いだりする儀式で、すでに始まっている神様との関係を、体を使って表す行為です(06)。

三位一体:

父なる神・子であるキリスト・聖霊が、三つの人格(位格)でありながら、ただ一人の神である、という考え方です(04)。

正直に言うと、これは人間の理屈で完全に説明しきれる話ではないと思っています。よく「水は、氷にも、水蒸気にもなるが、どれも同じ水だ」とたとえられますが、これも完璧な説明ではありません。わからなくて当然、というくらいの気持ちで構えておいてください。

一度に全部を覚える必要はありません。私からの手紙を読んでいて、聞き慣れない言葉に出会ったら、この見取り図に戻ってきてください。

地図は、旅の代わりにはなりません。それでも、迷ったときに手元にあると、少し心強いものです。